開発ストーリーstory

医療現場の窮状を伝える報道に傍観者でいることはできませんでした。

まったく経験のない医療用品という分野にカワシマが足を踏み入れたきっかけは、新型コロナ感染症の対応に追われる医療現場が防護服の不足に対する窮余の策としてレインコートやゴミ袋をつなぎ合わせたものが使われているという報道でした。カワシマで製造しているシート用の使い捨てポリカバーの技術は使い捨ての医療用防護服の製造に転用できるはず。素材のポリエチレンシートは一定の耐久性があるけれども、簡単に引きちぎって破棄ができ、人の背中を支えるシートに沿った立体的な形状のカバーに袖口を付ければ使い捨ての意防護服（ガウン）の形になるはず。そんな社長の思い付きから始まったプロジェクトは全社員の熱い賛同を得て、着手からわずか2週間という驚異的なスピードで製品化に至りました。

今まで培った確かな技術と品質からまったく新しい可能性が生まれました。

最初に製造したガウンは愛知県と名古屋市にそれぞれ1万枚ずつ寄贈しました。自動車部品メーカーが作った医療用ガウンです。現場で過酷な使用に耐え得るのかという私たちの不安は、寄贈に関する報道に反応した経済産業省と厚生労働省からの問い合わせに払拭されました。結果、経済産業省からは防護服生産設備導入支援事業に採択され、生産拡大に向けた製造設備の拡充が可能になりました。一方、厚生労働省からの納品の要請に応えるには同省が定める基準を満たす必要があります。まったく経験のないカワシマのスタッフたちの試行錯誤の末に生まれた医療用ガウンでしたが、開発当初から医師のアドバイスや現場へのヒアリング結果が積極的に取り入れられていました。カワシマのスタッフも驚いたことですが、その品質は現状のまま厚生労働省の厳しい安全基準をクリアしていたのです。